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パリ編38、帰国前その2

 帰国前にすることは荷物整理、部屋の大掃除、家主さんとの対面、保証金返還、鍵返却についての最終確認、家主さんによる部屋退去前の現状チェックに立ち会うこと、とまず考えました。荷物についてはヤマト運輸の国際宅急便サービスを利用することに決め、24日月曜日の朝9時にオペラ座近くのヤマト運輸営業所までいって国際輸送に耐えられる箱を買い、荷物集荷日もあわせて申し込んできました。その箱を持って一旦アパートに戻って置いてから学校へ最後の挨拶に行きました。12週間通っていた道を歩くのもこれが最後、と考えているうちに学校についてしまい、一番会いたかったジェニファー先生は丁度、担当クラスが休憩だったこともあり、運よく授業の妨げにならずにすみました。先生には11月7日最後の日にお手紙と日本から持参していた折り紙の本を差し上げました。子供さんが大変それを喜んでいる、と聞かされてよかった、と思い、研修中のことや、帰国後のこともお話いたしました。日本から送ってもらった24色の折り紙セットもお渡しいたしました。先生は私達のママンのようにずっと思っていましたが、やはりそうだった、とお顔をみて再確認しました。11月10日から開始の長期プログラムは当初3人、と聞いていましたが、直前に2人増えた、とのことで、日本人3名、アメリカ人1名、ブラジル人1名で、日本からきた2名と御挨拶をしましたが、私達のクラスメート、妻鹿祐介さんとお知り合い、と聞いて驚きました。ギョーム先生はおられなくて残念でしたが、ジェレミー先生、校長先生にはお会い出来ました。事務局のあきこさんにもお会いし、御礼を申し上げました。

 その日の午後、かねてから行きたかった、パリ近郊にあるルネッサンス期のお城、シャンテイまで足をのばしました。パリ北駅から電車で25分のシャンテイ・クビュー駅まで行き、お城までは2キロで、午後の電車は2時20分、と聞かされ、やめようかなとも思いましたが、切符は払い戻しが出来ず、やっぱり行こう、と駅近くのカフェで時間をつぶし、電車、タクシーと乗り継ぎました。森のなかの一本道を進み、目の前には白亜の立派な館が姿を現したとき、わー、と声をあげてしまい、それがお城の庭にある乗馬博物館、と聞いてほう、とため息をつきました。お城の正面門に着いて、切符を買い、目指す入り口にやっとたどり着いたときは午後3時で、コンデ公美術館になっているグラン・アパルトメントはいつでも入場できるが、かつての城主のプライベートな館であったプチ・アパルトメントはガイドツアーのみで、本日は4時が最終、と聞かされ、8ユーロに加えて5ユーロを払って予約をし、お目当ての美術館に急ぎました。

 お城の建築美術、建築様式、多くはありませんが置いてある家具の趣味のよさ、素晴らしさに目をひかれましたが、壁一杯に並べられている絵画は1点だけでも充分、と思えるほどで、私の大好きなラファエロにみとれ、コジモ作(美しいシモネッタ)を観ては、かつて京都でみた丸紅コレクションの至宝、ボッティチェリ(シモネッタ)を思い出し、初めてみるシャンテイの陶器コレクションに目を丸くし、歴史ファンにはお馴染みのキャラが溢れかえっている16世紀の肖像画コレクションの王家の人々との邂逅に喜びました。いままでお目にかかったこともなかったひげなしのフランス国王フランソワ1世、彼の第一王子で本来次期国王となるはずだった急死した王太子、次男アンリ王子の可愛らしい乳幼児期、アンリの后となったカトリーヌ・ド・メデイシスの少女期、フランソワのライバル、スペイン国王カロルス5世の姉で、彼の2度目の后としてフランスに嫁いだエレオノーラ、とドラマの主人公が綺羅星のごとくびっしりと並んでいました。

 プチ・アパルトメントは一転して、人が住んでいた気配を感じさせる居心地の良さを感じました。このお城の最初の主コンデ家は第一帝政期ころに断絶し、次の城主となった別の家門も今はなく、個人所有の美術館となっています。こんな素晴らしいお城、庭園を8ユーロでみられるなんて、と大満足で、馬の博物館、乗馬ショー、庭園を回れなかった残念さはあるのですが、ついに閉城時間となってしまい、駅に向かうべく切符売り場のマダムにお願いしてタクシーに電話をかけてもらったのですがあいにくと皆出払っているといわれしかたなくとことこと駅まであるいていたら、道のそばの木立をウサギが走っていくのがみられたり、と散策も悪くない、と思っていたらどんどんまわりは薄暗くなって心細くなっていき、一本道が3つに分かれるところにきてしまった時、そこのガレージにライトのついた車を見つけ、ムッシューに道を尋ねたところ、自分は今仕事が終わって帰るところで、駅まで行くから乗っていきなさい、といわれ、どうしようか、と思ったものの、いざとなったら、どのように反撃しようかと心つもりしておりましたが、1分もしないうちに駅前まで来て降りることが出来ました。運がよかっただけかもしれませんが、あの親切なムッシューにお礼をもう一度申し上げます。

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