その3、メッス、ナンシー
大聖堂の前広場のお菓子屋さんJEANで食べた(PARIS-METZ)です。マカロンの鮮やかな色にひかれました。
11月17日は研修中の休日で、パリから少し離れた地方都市に行ってみたい、とその数日前ですが、地球の歩き方をひろげてみて、目に入ったのはドイツ寄りの地方都市で僅か1/4ページ分の記事しかない、簡単な地図さえ載せられていないメッスでした。古い町で大聖堂もある、とあり、では行こう、と決め、そこまでいくのなら、ナンシーにも、と、帰り道にパッシー通りにあるSNCFブテイックでTGV のチケットを予約しました。11月16日は朝7時からお店に行き、午後1時までいましたが(日曜日はお店は午後2時に閉まります)、連日大忙しのマキシムはお休みで、(前日の夜でしたが、彼はクロカンブッシェを製作してました) シェフとジャン・ミシェルが忙しく働いておられ、私はシェフの横で少しは作業をさせていただけました。私でも少しは力になれたのなら嬉しいことです。お店の前の通りでは古物市が立っていて、そのせいかお客さんが多いように思いました。シェフは週末は特別なお菓子をお店に並べておられますが、この週はエクレアで、仕上げにマーブルチョコレートのようなものをエクレア表面につけたり、パッション・フルーツのクリームを詰めて黄色いフォンダンをかけたエクレアが登場しました。私はエクレアにクリームを詰めていきましたが、シェフがひとつを見て(これにはクリームが充分詰まっていないよ)と、いわれたらその通りでした。
アール・ヌーボーの都、として知られ、数々の銘菓があり、(領主として君臨したスタ二スラス・レクチンスキーが美食を好んだことも大きい)ナンシーは是非行きたいところであったので10月に既に訪れていました。駅前にナンシー銘菓やロレーヌ地方の食器メーカー、ルュネヴィルの製品を扱っていて、サロン・ド・テもあるお店を発見してベルガモット風味のマドレーヌ、ロレーヌの特産品西洋スモモ・ミラベルの砂糖漬け、スタニスラスの名のついたショコラのお菓子を買い求め、アール・ヌーボー建築の店内での食事や喫茶が楽しめるブラッスリーでコーヒーで一休み、ルレ・デセールの本でも紹介されている、ANDRE THIEBAUTシェフのお店で美しいケーキ達に出迎えられ、味わってみてその美味しさとパリでは考えられない値段の安さに驚き、ここのスペシャリテ、といわれたパテ・ド・ロレーヌ(白ワイン、スパイスに漬けた豚肉をパート・フィユタージュではさんで焼いたもの)をも食べました。市役所のある建物・オテル・ド・ヴィル、アントワネットがフランスに興し入れした時に宿泊し、今はデラックスなホテルとなっている館、美術館、オペラ劇場に囲まれているきらびやかなスタニスラス広場は花が咲き見事な彫刻で飾られた噴水に目を見張り、美術館ではガラス工芸品のコレクションそれはガレやドームといった有名作家の製作した作品ではありませんでしたが、これだけの作品を生み出したのがここナンシーなのだな、と感動し、学芸員のマダムにはこの美術館の歴史とあわせてナンシーの歴史まで丁寧に教えていただき、内部が公開されていたオテル・ド・ヴィル見学では豪華な建築に見とれ、大聖堂も見学し、カリエール広場を歩いた時、両側の並木はすでに葉が黄色く(枯れていたのか)なっていて、すでに秋の気配を感じていました。あれから1ヶ月以上たてばもう冬で、すっかり町も空気も色が変わっているだろうな、と思いつつ、でも、もう一度あの町を訪ねたい、と2度目のナンシー行きを決めました。
パリ東駅から朝7時台のTGVに乗り、まだ薄暗くて車窓からはなにも見えず、うとうとしているうちにすでにアンジェ駅を過ぎ、メッツの駅で降りたときには太陽は輝いていましたが冬の弱い光で、駅前の広場にはクリスマス・ツリーが飾りつけ途中で、同じフランスでもまるで風景、空気は異なり、異国にやってきたようで、ここはドイツの影響が色濃い、と駅前のケーキ屋さんのドイツ語表記されている商品をみて思いました。クグロフも見つけました大聖堂のある町の中心部までは、商店街を通るバスで行きましたが、どこも華やかで明るく、皆で待っている楽しいイベント期間なのだ、と感じ、24日の一日がすべてであるかのようなイベントの日本でのクリスマスの楽しみ方とは違うと思いました。大聖堂は想像していたより古びて黒く、改修、補修のための足場に囲まれているようで、内部も足場が立てられてその下を歩いていると工事現場に来た様でヘルメットが必要かなとさえ思いました。ここにもシャルトルにあった黒いマリア様を思い出させる聖母子像があり、シャガールのステンドグラスは太陽の光を背に神秘的な輝きをみせていました。大聖堂の向かいの建物の一階にはケーキ屋さんがあり、メッス特産のミラベルを使ったジャム、キャラメル、ドロップ、パート。フリュイが売られていました。ケーキはなにかあるかしら、と覗いていたら、お馴染みの商品のなかに、とてもカラフルなものをみつけました。お店のドアにもカラー写真つきの広告で紹介されている、アルルカンというマカロンを用いたパティスリーでした。ルレ・デセールの会員シェフのお店はあるのですがあいにく定休日なので、ここでお茶を飲もう、と決めました。 この町には3時間しか滞在出来ないので、次の目的である、ジャン・コクトーのデザインによるステンドグラスのあるサン・マキシマン教会へと急ぎました。平日なのにあまり活気を感じられない商店が両側に並んでいる(殆ど閉まっていました。定休日なのでしょうか)石畳の道を早足で歩きたどり着いて、もし入場できなかったら、と思いつつそっと重い木の扉を押したりひいたりしたら、音があまりたたずに開きました。だれもいなくて、静まり返った教会はステンドグラスを通って入ってくる光であたたかな雰囲気があり、ゆっくりしたくなりましたが、それは出来ず、せめてお目当てのステンドグラスを一枚ずつ見学いたしました。
再び大聖堂のある広場に戻り、先ほどみつけたケーキ屋さんであのケーキとコーヒーを味わいました。価格はサロン・ド・テでは4ユーロでパリよりは安い設定に思いました。カラフルな2枚のマカロンにはバナナ風味のクリームとフランボワーズがはさまれていました。クリームはやや固いようで、でも口どけ、風味はよく、後をひくおいしさで、フランボワーズとの取り合わせがいいな、と思いました。メッス名物ミラベルジャムを買いました。
バスに乗って駅に戻ると電車の発車時間まですぐでした。後ろ髪を引かれる思いで、次はもっと時間に余裕を持ってこの町を歩きたい、下調べをしてから、再訪問したい、そばまで行けたけど散歩できなかったモーゼル川沿いの遊歩道を歴史散策したい、ケーキ屋さんを探したい、とあれこれ思いつつ電車で40分の次の目的地ナンシーへ向かいました。
2度目のナンシー訪問でしたが、残念なことにはアール・ヌーボー作品を展示しているナンシー派美術館は閉まっていて、今回も見学できませんでした。月曜日はお休みのケーキ屋さんが多いのですが、前回、心残りがあった焼き菓子、ヴィジタンディーヌをついに買えました。このお菓子はアーモンド粉、、卵白、焦がしバターを用い、フィナンシエとよく似ていますが、長方形の型(金の延べ棒を思わせる)で焼かれるフィナンシェに対し、花のような丸い独特のヴィジタンディーヌ型で焼かれます。(大森由紀子さんの本で紹介されていますが、楕円の焼き型でも作られるそうです)
スタ二スラス広場にある、かつてマリー・アントワネットオーストリアからの花嫁道中で宿泊し、今はデラックスホテルとなっている、グランドテル・ド・ラ・レーヌのサロン・ド・テに入りました。マリー・アントワネットの白い胸像が階段の踊り場に飾られていて、バラの芳しい香りが漂う上品なホテルで、トイレットにはバラの生花が生けられていました。
大きなカットのミラベルのタルト、ドイツで食べたフルーツの焼きこまれたリンゴタルトを思い出しました。
サロン・ド・テのケーキはタルトが2種類で、アプリコット、ミラベル、でした。ドイツでみかける大きくカットされているタルトそのものを思わせ、ここはフランスでもかつては独立した公国だったのだ、と考え、名物ミラベルがたっぷりのったタルトを味わいました。しかし、メッスよりはフランスの香りを感じ、ドイツの影響は強くはないようにも思いました。マドレーヌにベルガモット風味の商品があるなんて知りませんでしたが、あいにくと私の好みの香りではなかったのが残念でした。前回のナンシー訪問ではルュネヴィルのお皿は買ったのですが、今回はついに私を呼ぶテイーカップに出会いました。やや大きいカップには今までみたことが無いデザインのバラやチューリップといった花が描かれていて、これでお茶を飲みたい、マドレーヌを添えてみたい、と思いました。高価な商品でなかったのも購入の決め手になりました。
帰りのTGVまでは約1時間の残り時間は散策に費やしました。
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