2010年1月18日 (月)

面白い歴史小説に出会いました。

 1月1日に初日を迎えた宝塚歌劇星組公演(ハプスブルグの宝剣)は藤本ひとみ原作の歴史小説の舞台化です。ヨーロッパを舞台にした歴史小説は数多いのですが、昨年、これは、と思える歴史小説に出会うことができました。2002年に直木賞をとった、佐藤賢一作(王妃の離婚)という小説です。

タイトルの王妃、とはルイ12世(1498即位、1515年崩御)の最初の后、ジャンヌ・ド・フランスで、私がその後ろ姿を追いかけている最後のブルターニュ大公女アンヌ・ド・ブルターニュが最初に結婚したフランス国王シャルル8世の姉にあたる王女でもあります。

 広大なブルターニュ公国を相続したたったひとりの跡取り娘アンヌを1491年に代理人との結婚式まですませていたハプスブルグのマキシミリアンから奪うようにして王妃にしたのがフランス国王シャルル8世ですが、1498年、結婚後8年、世継ぎの王子がないままお城の鴨居(柱、ともいわれている)に頭をぶつけてそれがもとで亡くなってしまい、未亡人となったアンヌには求婚者が早速あらわれ、そのひとりが先王のいとこであり、分家筋で王家につらなるオルレアン家のルイでした。すでに后がいたのですが、ブルターニュという持参金をもっている金持ちの後家さんは魅力ある存在で、カトリック史上悪名高い時の法王アレッサンドロと手を組んで離婚を成立させたことは、塩野七生氏の名作(チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷)でほんの数行書かれていますが、カトリック世界でも離婚が可能なのか、と驚き、どんな手を使ったのか、と不思議でしたが、その離婚裁判の法定劇であるこの小説は大変面白く、一気に読んでしまいました。

 舞台はロワール川沿いの歴史ある街、私が一昨年4週間滞在したトウール、王家と関わり深いアンボワーズ、アンヌ・ド・ブルターニュにも結びつく史実とあっては見逃せないし、佐藤氏のサスペンスタッチの展開に手に汗にぎり、はらはらしつつ、最後まで集中力が切れませんでした。

 醜い王女といわれたジャンヌですが、読んでいて思い描くことが出来るこの王女の気高さ、強さ、夫ルイへのけなげなまでの愛、そして少女のような可愛らしさ等は胸を打つものがあり、でも、この女性を愛することがなかったルイに腹を立てることも出来ずにいます。

 フランスの歴史といえばたいていはもっと後の時代(ルイ14世の治世)のほうがよくとりあげられるし、なじみがあると思いますが、私はそれ以前の歴史に興味があります。佐藤賢一氏の他の著作を読んでみよう、というのが今年の読書目標になりました。

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